Q君の予習や復習、過去の入試問題への取り組み方などの勉強スタイルは、Q君の特徴である強迫性を示していると考えられた。近年、研究が進むにつれ、強迫とうつは重なり合う部分が多いと考えられている。強迫性の治療にある種の抗うつ剤が用いられるのも、両者の共通点を示している。適度な几帳面さは、学業の成就や仕事面での自己実現につながるよい指標となるが、過剰な几帳面さや柔軟性の乏しさ、完全癖の強さに大学受験勉強のストレスが加わると、Q君のように許容量を超え、抑うつ状態におちいってしまう。Q君の場合は、食欲低下、入眠困難、意欲低下が症状として現れ、両親が心配して精神科クリニックを受診させた。うつになりやすい性格(病前性格)には、執着気質、メランコリー親和型気質があるといわれているが、これらに共通する基本特徴は、生真面目、几帳面、完璧主義である。真面目な性格ゆえに、もっと頑張らなければと思うが、それができなくなると、自分を「怠け者」と感じ、なかなかほかに援助を求めることができない。周囲も、うつによる欠席や怠学をさぼりであると誤解し、叱ったり、頑張るように励ますことがある。しかし、抑うつ状態の人への励ましは、基本的に好ましいものではなく、自殺などの危険を招く場合もある。この点についての周囲の理解が必要であり、必ず専門家に相談するなどが適切な対応であるといえる。
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