生協が推進する産直運動は、流通の新しいあり方です。大量生産体制は、大量流通の必要を生み出し、そのことが運輸方法とその体系の変化を呼びおこします。人も物も鉄道輸送から自動車による輸送へ大きくシフトしています。そのためには、高遠道路網などの交通路の建設が進められてきましたが、渋滞、高料金、環境被害などの問題点をかかえこんだままです。また長距離間の運輸手段としては航空機の利用が急増中です。高速性を生かして各地の間の時間距離を縮め、人と物の高速移動を可能にしていることが果たす作用は、きわめて大きいと言わなくてはなりません。運輸手段は多様化していますが、それらの体系的な展開が必要です。たとえば鉄道が赤字を理由に廃止されるだけでは、自動車を動かせない老人や身障者は移動手段を奪われます。
日本の貿易黒字は、1986年度に1,016億ドルという空前の額に達したあと、円高や内需拡大の効果でやや縮小しましたが、1991年度は1,134億ドルに拡大し、92年度以降もその基調が続いています。輸出(年間3,120億ドル)と、輸入(1,983億ドル)との差を埋めるのは容易ではありませんが、黒字が減らなければ摩擦もおさまりません。輸出を抑える縮小均衡よりも、輸入を増やす拡大均衡型の解決策が、日本にとって望ましことはいうまでもありません。内需主導型の経済成長を続け、円高基調を維持できれば、外国製品が日本に入ってきやすいわけですが、それでもなお障害があります。煩雑な基準・認証制度、複雑な流通機構、企業の系列取引は、日本市場への参入をめざす外国企業の目には輸入を阻む障壁にみえます。これらは日米構造協議などで問題になりましたが、なお改善しなければならない点が多々あります。
2008年5月、イタリアのローマでは中国人やインド人のレストラン街が襲撃された。その背景には、ベルルスコーニ政権の移民排斥政策が絡んでいるとされる。2ヵ月のあいだに、500人の移民が国外追放された。移民の排斥は2005年7月、ロンドンで起きた同時爆発テロの実行犯がパキスタン系の移民2世だったことに起因している。移民は集団で群れ、社会にとけこむ努力もしないで治安を乱すと見られているのだ。ヨーロッパは第二次世界大戦後の経済成長のさい、旧植民地から大量の移民を受け入れながらも、教育や雇用などの面で人種差別的政策をつづけてきたという過去をもつ。近年、ヨーロッパで頻発している移民の暴動は、差別や格差を抱える社会そのものに要因があるという見方もできる。さらにそこには、貧困や圧制から逃れたいと、アフリカ北部などから海を渡ってきた不法移民の問題も絡んでいる。現在、ヨーロッパの不法移民の数は800万人にものぼる。将来的に、より多くの移民を受け入れなければ成り立たなくなる日本は、欧米社会のさまざまな問題を教訓にすることができるだろうか。
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